よちよち歩きのペンギンぺんたぁず

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ペンギンの身体

ぺんたぁペンギン

はじめに

『ペンギンとは』のページでは、ペンギンのおおまかな全体像を紹介します。特定の種類のペンギンの事は、和種名を追記します。
それぞれの種類のペンギンを詳しく知りたい場合は、『ペンギン6属18種の紹介』以下の『◯◯ペンギンの紹介』ページをご参照下さい。

各部の名称と英表記
ペンギン頭部の各部名称と英表記 ペンギン身体の各部名称と英表記

大きさ

ペンギンの体長・体重は、最小の「コガタペンギン」40〜45cm 1.0〜1.1kg から最大の「エンペラーペンギン」100〜130cm 24.7〜36.7kgまでずいぶん違いがある。

ペンギンの大きさは、私たちが普通に使う「身長」ではなく「体長」で表します。
鳥類であるペンギンの体長は、鳥類に定められた測定方法で測ります。鳥類の測定方法では、クチバシの先端から尾羽の先端までの長さを用います。通常、平らな面に腹面を上向きにして寝かせ、クチバシをのばした状態にして測ります。
 ペンギンの体長は、クチバシと尾羽の先端までの長さで計測される為、直立している姿に比べると、かなり大きくなります
ペンギンの身長を割り出すには、「体長から5〜10パーセントを引く」という指標が示されていることがあります。しかし、体長と身長の差は種によって異なるため、一概にこの指標は使えません。

各ペンギンの大きさ比率
各ペンギンの大きさ比率

…以上『やっぱりペンギンは飛んでいる!!』(技術評論社)を参照  「目次」へ移動

形態

成鳥の形態

羽毛の色は、背面は黒色、青色または灰色で、腹面は白色である。種によっては冠羽(かんう)をもち、また頭部やクチバシが飾り羽や派手な色彩で彩られている。
フリッパーは、外側は黒色、内側は白地に、さまざまな形の斑点や模様が見られる。
羽毛は幾重にも重なり、細かい綿羽(めんう)の層を上から隙間なく覆っている。潜水すると、羽毛は水圧で押しつけられ、隙間から水がしみ込まないようになる。羽毛の間にあった空気は水圧で少しずつ押し出されるので、潜水してくペンギンの体表から細かい気泡が立ち上るのが観察される。

皮下には厚い脂肪の層を蓄えており、脂肪と綿羽、そして羽毛の内側に保たれた空気は、効果的に冷気を遮断する。換羽の前にはいちじるしく増加する。
 しかし、暖かい時には、どのようにして体温を下げるかが問題になる。ペンギンは、哺乳類(ほにゅうるい)の人間ように汗をかかない。羽毛を広げたり、クチバシを開けてパンティング(panting)と呼ばれる激しい呼吸をしたり、さらに口の内側、クチバシの周りの羽毛の生えていない皮膚、フリッパーの内側、足など外界に熱を発散し易いように皮下の血管を広げて血液を冷やし、体温を下げている。

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幼鳥の形態

幼鳥は、孵化(ふか)したとき短い綿羽(第一幼綿羽)で覆われているが、これはすぐに生え変わり、厚い綿羽(第二幼綿羽)になる。この2番目に生えてくる綿羽は属ごとに、また属の中でも種ごとに異なる。
 体色は、エンペラーペンギンでは体が灰色、頭部が黒色であるのに対し、キングペンギンは、全身茶色。
アデリーペンギンは、濃い灰色。ヒゲペンギンは、背面と顔面は黒色、腹面が淡い灰色。ジェンツーペンギンは、背面と顔面は黒色で腹面は白色。他の属では、綿羽の色にそれほどはっきりした違いはなく、ほとんどが灰色がかった茶色。

第二綿羽が生え変わると、羽毛の色はほとんど成鳥とかわらなくなるが、巣立ちのときの若鳥(亜成鳥)の大きさは、成鳥と比べてまだいくぶん小さい。

…以上『ペンギンハンドブック』(どうぶつ社)を参照  「目次」へ移動

骨格

ペンギンの骨格図
ペンギンの骨格図

空を飛翔する鳥は、体が軽いほど空中に浮きやすくなり 飛ぶのに有利です。かれらは、骨を出来るだけ軽く丈夫にするために、骨の内部を多孔質や桁構造の中空にして強度を保ち、密度を低くして軽くすることに特化しました。
 一方、海に潜ることに特化したペンギンにとって、軽い骨では逆に不利になります。骨が軽いと水に潜る時 体が浮きやすくなるため、潜るときに莫大なエネルギーを必要とします。また、飛翔するためには十分だった強度も、抵抗の大きい水中で羽ばたくと、簡単に折れてしまいます。なので、骨の密度を高くして中空部分を減らし、重く、さらに頑丈にする必要がありました。

骨の内部構造図
骨の内部構造図

ペンギンの骨格で特徴的なことは、
翼部骨格(フリッパー)、脚部骨格(跗蹠骨) の部分です。

 また、空を飛翔していた名残として、
胸部骨格(竜骨突起)、尾部骨格(尾端骨) に特徴があります。

各骨の 読み方
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翼部骨格

上腕骨(じょうわんこつ)、橈骨(とうこつ)、尺骨(しゃくこつ)、橈側手根骨(とうそくしゅこんこつ)、尺骨手根骨(しゃくそくしゅこんこつ)、腕掌骨(わんしょうこつ)・手根中手骨(しゅこんちゅうしゅこつ)、第3指(だいさんし)、第4指(だいよんし)

脚部骨格

大腿骨(だいたいこつ)、跗脛骨(ふけいこつ)・脛足根骨(けいそくこんこつ)、踵(かかと)、跗蹠骨(ふしょこつ)・足根中足骨(そくこんちゅうそくこつ)、中足骨(ちゅうそくこつ)、第1趾(だいいっし)、第2趾(だいにし)、第3趾(だいさんし)、第4趾(だいよんし)

頭部骨格

頭蓋骨(とうがいこつ)、塩類腺(えんるいせん)、鞏膜輪・強膜輪(きょうまくりん)、鼻孔(びこう)、上顎(じょうがく)、下顎(かがく)

胸部骨格

胸骨(きょうこつ)、竜骨突起(りゅうこつとっき)、癒合鎖骨(ゆごうさこつ)、烏喙骨(うかいこつ)、肩甲骨(けんこうこつ)

背部骨格

頸椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)・癒合背部椎(ゆごうはいぶつい)、肋骨(ろっこつ)、複合仙骨(ふくごうせんこつ)、恥骨(ちこつ)

尾部骨格

尾椎(びつい)、尾端骨(びたんこつ)

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頭部骨格

頭部骨格図
頭部骨格図

鳥類では、大きな眼球を定位置におさめるため、『鞏膜骨(強膜骨、きょうまくこつ)』という小さな骨が10数枚集まって、『鞏膜輪(きょうまくりん)』という輪状構造をつくっています。これは哺乳類にはないもので、膜のような骨です。

海で食物を採取するほとんどの海鳥には『塩類腺(えんるいせん)』と言う、塩分の濾過器官があります。ペンギンの場合、この器官は目の上にあり、『頭蓋骨((とうがいこつ)』のその部分はバナナ状に凹んでいます。

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胸部骨格(飛翔のなごり)

鳥類では、『胸骨(きょうこつ)』は癒合して板状になっており(『胸骨板(きょうこつばん)』ともいう)、中央には縦に『竜骨突起(りゅうこつとっき)』と 呼ばれる大きな骨の突起がみられます。この突起は羽ばたくために発達した筋肉が腱によって付着している場所です。
 肩の部分は、『烏喙骨(うかいこつ)』、『上腕骨(じょうわんこつ)』、『肩甲骨(けんこうこつ)および左右が癒合した『癒合鎖骨(ゆごうさこつ)』により肩の関節が形成されています。『烏喙骨(うかいこつ)』は翼の支柱となる骨で、『胸骨』へ と繋がっています。

竜骨突起(りゅうこつとっき)

空を飛ぶ鳥類は、羽ばたくのに必要となる強力な胸の筋肉をつなぎ止める為に、ガッチリとした胸骨部分に『竜骨突起(りゅうこつとっき)』を備えています。ダチョウ、エミュー、キウイなどの すぐれた脚力で地上を疾駆する鳥は、胸骨が平板な筏(いかだ)のようで、この『竜骨突起』がありません。ペンギンには、『竜骨突起』があり、太古には空を飛んでいた名残と考えられています。
「竜骨突起」を備えた鳥を【 峰胸類(ほうきょうるい)】、無い鳥を【 平胸類(へいきょうるい)】と呼びます。

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背部骨格

鳥類では、背中の部分の骨は『脊椎(せきつい)』のうち、頸や尾の部分を除いては癒合したりして可動域が狭くなっています。特に『胸椎(きょうつい)』の一部は癒合していて、『癒合背部椎(ゆごうはいぶつい)』と呼ばれます。また、『胸椎』の一部と『腰椎(ようつい)』、『仙骨(せんこつ)』、『尾椎(びつい)』、および『寛骨(かんこつ、骨盤の一部)』が癒合して『複合仙骨(ふくごうせんこつ)』を形成しています。

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尾部骨格(飛翔のなごり)

鳥類では、『脊椎(せきつい)』が、『頸椎(けいつい)』、『胸椎(きょうつい)』、『腰椎(ようつい)』、『仙骨(せんこつ)』、『尾椎(びつい)』まで続く。『尾椎』の最後の部分は『尾端骨(びたんこつ)』と呼ばれ、尾羽が付着しているところです。

空気力学的効果という点から見ると、尾はできるだけ短い方が良い。実際、約二十個の脊椎骨からなる長い鞭のような尾をもつ始祖鳥は、ほとんど飛翔力が無かったと考えられている。飛行性能が向上すればするほど尾の骨の先端部分は省略化され、退化して小さな突起状の骨になっていく。これを『尾端骨(びたんこつ)』という。ペンギンにもこの『尾端骨』があり、空を飛ぶ鳥の場合には着陸の際ブレーキの役目を果たす扇状に配列された尾羽も生えている。この事から、太古には空を飛んでいた名残と考えられています。

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翼部骨格

鳥類の翼部骨格図
鳥類の翼部骨格図

鳥類では、肩には『上腕骨(じょうわんこつ)』が繋がり、その先には『橈骨(とうこつ)』、『尺骨(しゃくこつ)』が肘関節で繋がっています。
 更にその先は、ヒトの手首から先にあたります。人間の「手の甲」に当たる『腕掌骨(わんしょうこつ)』(解剖学的には『手根中手骨(しゅこんちゅうしゅこつ)』)で、ヒトの手のひらに相当します。『腕掌骨』と『橈骨』・『尺骨』の間には、それぞれ『橈側手根骨(とうそくしゅこんこつ)』と『尺骨手根骨(しゃくそくしゅこんこつ)』という小さな骨が見られます。
 指は第3指、第4指の2指があるのみで、『指骨(しこつ)』は第4指で1個、第3指で2個あります。ペンギンでは、第2指は退化して跡しか残っていません。

フリッパー

ペンギンのフリッパーは、『上腕骨(じょうわんこつ)』より先が一枚の板状になり、各関節の可動域は極めて狭く ほとんど固定されています。ペンギンは、翼を完全な一枚のオールのように変化させ、水中を羽ばたいても折れない強靭なフリッパーを作り出したのです。その強力なフリッパーを支える上腕骨も、他の鳥類に比べて短く丈夫にできています。

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脚部骨格

ペンギンの脚部骨格図
ペンギンの脚部骨格図

鳥類では、腰の『複合仙骨(ふくごうせんこつ)』に、『大腿骨(だいたいこつ)』が繋がり、その先には、太い『跗脛骨(ふけいこつ)』(解剖学的には『脛足根骨(けいそくこんこつ)』)と、細い『腓骨(ひこつ)』が膝関節で繋がっています。
注:作者 『腓骨』は、ペンギンには無いようです。…確認しきれませんでした。)

 更にその先は、ヒトの踵(かかと)から先にあたる『跗蹠骨(ふしょこつ)』(解剖学的には『足根中足骨(そくこんちゅうそくこつ)』)で、足の指の『趾骨(しこつ)』へと続きます。
 鳥類では、第1趾は後ろ向きに突き出しており、『趾骨』と『跗蹠骨』とのあいだに『中足骨(ちゅうそくこつ)』が見られます。ペンギンの場合、第1趾はほとんど退化して、脚の内側に小さく突き出しており、よく見ると小さなツメも生えています。第2~4趾には独立した中足骨は見られません。各趾の趾骨の数ですが、第1、第2、第3、第4趾でそれぞれ2、3、4、5個となっています。

跗蹠骨(ふしょこつ)

ペンギンの脚部骨格も、他の鳥類には見られない特徴があります。鳥類には、踵(かかと)と足の指の『趾骨』をつなぐ『跗骨(ふこつ)』と『蹠骨(しょこつ)』が一体化した『跗蹠骨』があり、二足歩行をする鳥類の体全体を支えています。ペンギンの場合、この『跗蹠骨』が極端に丈夫にできています。
 ペンギンの足は、水中で理想的な流線型を保持するため、他の鳥類に比べて後ろ側に付いています。足が後ろについているため、陸上では体重を踵(かかと)に乗せて垂直に立たなければいけません。この姿勢のおかげで、踵に相当する場所にあった『跗蹠骨』が頑丈になっていったと考えられています。

跗蹠骨の比較図
跗蹠骨の比較図

ペンギンは恐ろしく短足に見えますが、実際には、表に見えている部分が少ないだけで、体の中では「空気イス」状態だったりします。ちょうど人間が中腰の姿勢で脚を曲げて座った姿勢のまま、膝にスポッとトレーナーをかぶせた様な感じです。脚の大部分が隠れている理由は、水中で『肋骨(ろっこつ)』に守られていない腹部が水圧により凹まない様に補強代わりとして 理想的な体型を維持するためと、体外に出す部分を少なくすることで体温放散を減らすため、と考えられています。

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保温・熱交換システム

「ペンギンは、雪や氷が好きだろう。」と思い込んでいる人は多い。たしかに南極や亜南極で暮らしている種は、雪や氷をあまり苦にはしない。だからといって、寒い地域で繁殖するペンギン全てがエンペラーペンギンのように「超人的」な耐寒能力を持っているわけではない。もともと、雪や氷の上での生活に適応し、特に優秀な保温・熱交換システムを発達させてきたエンペラーペンギン、アデリーペンギンなどの「南極ペンギン」を除いて、キングペンギンなど亜南極以北で繁殖する種は「氷や雪は苦手」である。たとえば、北海道の水族館で飼育されているフンボルトペンギンは、日本の冬の寒さをしのぐため真冬にはストーブにあたっている。
 とは言え、ペンギンは ほかの寒冷な地域で生息する鳥類に比べ、一般に、はるかに優秀な耐寒能力を持っている。真夏の日中には40℃を超える酷暑にさらされるガラパゴスペンギンも、ひとたび海に出て獲物を追う時には冷たいフンボルト海流の中を何時間も潜水し、泳ぎまわらなければならないからだ。ペンギンが誇る優秀な保温システムとはどのようなものだろうか?

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羽毛

羽毛の図
羽毛の図

ペンギンの羽根は空を飛ぶ鳥のものと少し違う。一枚一枚の羽根が小さくびっしり生えている。また、形に注目すると羽軸を中心に左右対称になっている。飛翔能力のある鳥の羽根は左右比対称だから揚力を生む。空を飛ばないペンギンにはそういう羽根はいらない。
 羽軸の根元に見られる綿状の羽毛も長くよく発達している。固く尖り、左右対称の羽弁は、顕微鏡で見ると先端にカギ状の細い突起が無数についている。ペンギンの体をほぼ隙間無くおおっているこの羽根は、水に濡れたり水圧がかかったりすると互いにカギ状の突起が絡まり合い、まるで全体が一枚の柔らかい布つながるという仕組みだ。
 陸上でも、羽根の付け根の筋肉を動かすことによって、体の一部や全体の羽毛を立たせたり倒したりする事ができる。寒い時には、羽根を倒し、暑くなれば羽根を起こして冷たい外気を羽毛の根元まで入れて熱を逃せば良い。羽根を寝かせた時、羽根のバリアと皮膚との間に閉じ込められた空気の層ができる。これが断熱効果をさらに高める。ペンギンの成鳥では、保温効果全体の80〜90%を羽根と空気層とによる断熱効果によって得ているようだ。

これらの断熱効果は、羽根の表面に絶えず脂を塗る事によっていっそう高まるようだ。ペンギンは陸上でも海上でも時間があればいつもクチバシで羽根の乱れを直し、尾羽根の付け根にある皮脂腺という器官から出る脂をクチバシですくいとっては、羽根の表面に塗り付けている。もし、羽づくろいをせず羽根の表面をおおうこの脂が無ければ、水中での熱損失は倍増するという研究データもある。

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体格

ペンギンの体には体熱を逃がしやすい部分がいくつかある。クチバシ、頭部、フリッパー、脚がそうだ。腹部を中心にたっぷり脂肪を蓄え、丸々と太った胴体部分は球形に近い。球は容積に比べて表面積が最も少ない立体だ。したがって、ペンギンは太れば太るほど、体温が水分とともに蒸発していく体表面の割合が少なくなっていく。そういう意味では、エンペラーペンギンは最も体熱を失いにくい体型だといえるだろう。しかし、その球状の胴体から突出した部分は体温の放出部分になってしまう。

エンペラーペンギンとアデリーペンギンの四肢や頭部・クチバシを良く観ると、ここからの体温損失を極力減らそうという仕組みがあることが分かる。クチバシの基部は皮膚と短い羽毛でおおわれている。だからほかの鳥に比べて一見クチバシが短いように感じるだろう。両脚は足先くらいまで長めの羽毛に隠れているので脚が短く感じるかもしれない。フリッパーはペンギンの体の中で最も薄く熱を失いやすい部分だが、同属のキングペンギンに比べエンペラーペンギンのフリッパーは体長に対する比率が小さい。さらに、頭部は厚い皮膚を脂肪層におおわれているので頭全体がややふくらんで丸みをおびている。

…以上『ペンギンの世界』(岩波新書)を参照  「目次」へ移動

保温システム

脂肪層・皮膚・空気層・羽根・羽根に塗られた脂という五枚の防寒着を着込んだペンギンは、いつも気密性の高いドライスーツに身を包んでいるようなものだ。だが、想像を絶する寒気が襲ってくる南極で生活するにはこれでもまだ十分とは言えない。

対向流熱交換
対向流熱交換の図
対向流熱交換の図

脚、フリッパー、頭部に体熱の放散を調節する循環系の特殊な仕組みがある。脚とフリッパーの部分の血管は、末梢組織から体の中心部へ冷たい血液を運ぶ静脈と、体の深部から末端部へ温かい血液が流れる動脈とが互いに接し合い、絡まり合うようになっている。熱は温かい動脈血から冷たい静脈血へ伝わり、動脈血はしだいに冷める。これを『対向流熱交換』という。
 動脈血が末梢組織にたどりつくまでに血液の温度は外気温に近くなり、体から失われる熱量は少なくなる。股、筋肉を収縮させて動脈の内径を小さくすれば末梢組織への血流量を減らすことも出来る。ある実験によれば、低温下におかれたキングペンギンの胴体中心部の温度が39℃だった時、脚とフリッパーは6〜9℃まで下がっていた。

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後眼窩迷網

頭部にも同様の仕組みが発達していて、細かく枝分かれした動脈と静脈が網の目のように何度も交差し、互いに接触する面積を著しく大きくしている。この仕組みを『後眼窩迷網(こうがんかめいもう)』という。
 頭部は脚やフリッパーと違い、体の中心部から抹消部にいたる血管が短くそのままでは動脈と静脈との接触面積は小さい。各々の血管を拡張できるこの仕組みは、血管どうしの熱交換率を高め、断熱性に乏しい頭部からの熱損失を減らす大きな効果をあげている。

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呼吸における熱交換

低温で乾燥した空気の中で呼吸すると、体温とともに貴重な水分をも大量に失っていく。ペンギンには呼吸による熱と水分の消費を低くおさえる為に、鼻道にも対向流熱交換システムが備わっている。ペンギンが吸い込んだ冷たい外気は、まず鼻道内の「総気腔」という小部屋に導かれる。これによって吸気の入る速度が遅くなり、鼻粘膜から蒸発した熱と水分とが鼻道内の吸気に伝えられる。息が吐き出される時は、これとは逆に、冷たくなった鼻粘膜の表面をなでながら通過し、体温とほぼ同じ温かい呼気を冷やして、呼気から熱と水分を回収するのだ。

実験によれば、外気温5℃の時、ペンギンは呼気の温度を約38℃から9℃に低下させ、冷たい外気を吸い込んだ際に消費した熱と水分の82%を回収することが出来る。

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冷却システム

優れた保温・熱交換システムをもったペンギンだが、高温・多湿の環境ではかえって命をおびやかす「熱中症」を引き起こす原因となる。また、寒冷な地域で繁殖する種ほどちょっとした気温の上昇が体力の消耗につながる。アデリーペンギンなどは気温が4℃になっただけで「過熱の兆候」である。「開口呼吸(クチバシを開いて苦しそうに呼吸すること」を始める。エンペラーペンギンでは20℃、コガタペンギンでは25℃を超えると落ち着かなくなりストレスが強まる。

こういう場合、温帯から熱帯に住むペンギン達に備わっている皮膚の裸出部は、過剰な体熱を放出する有効な器官となる。彼らの脚・フリッパーの内側・顔面(クチバシの付け根付近)には皮膚がむき出しになった部分がある。体温が上昇すると余った熱を放出するために静脈が膨張し、対向流熱交換システムを通さずに末梢組織に送り込んむ血液の量を増やすことができる。暑い時、これらのペンギンの顔の裸出部はきれいなピンク色に染まり体熱の放散を促している様子が手に取るように分かる。

…以上『ペンギンの世界』(岩波新書)を参照  「目次」へ移動

換羽

生後1年をすぎると、ペンギンは毎年1回、換羽(かんう)をおこなう。ただし、ガラパゴスペンギンは年2回換羽する。羽毛が古くなると防水能力がなくなり、体を寒さにさらすことになる。キングペンギンとガラパゴスペンギンは繁殖期の前に換羽するが、他のペンギンは、繁殖期の後におこなう。非繁殖個体は、いくぶん早めに換羽する。換羽に先立ち、かれらは数週間から数ヶ月、海で餌をとってすごし、その後、海岸に帰ってくる。こうして、新しい羽毛をつくりだし、換羽期の絶食に耐えるために十分なエネルギーをため込む。つやがなくなり、古くなった羽毛はぼさぼさしているが、しばらくすると内側から新しい羽毛が突き出してくる。

蓄積した脂肪や筋肉に蓄えられた栄養は、エネルギーとして使われる。換羽期間中は生理的なストレスが生じるし、また、蓄えられた栄養が十分に無かった場合、筋肉がおとろえ、やがて死んでしまうこともある。
 空を飛ぶ鳥と違い、ペンギンは換羽中には餌をとることが出来ない。餌を探して海に入ると、羽毛に水がしみ込み、凍えてしまうので、換羽中の2〜4週間は水中に入れない。換羽が終わり、細身になって新しい羽毛に生え変わると、海へもどって行く。

…以上『ペンギンハンドブック』(どうぶつ社)を参照  「目次」へ移動

塩類腺(えんるいせん)

ペンギンがぶるぶるっと、首を振るシーン。とても普通の行動なので見過ごしてしまいがちですが、あの首振りには重要な意味があります。
 頭を振ったシーンをよく観察すると、何かが飛び散っているのが分かります。その正体は、なんと鼻水です。ペンギンは時々この鼻水が出てくるため、首を振って飛ばしているのです。ただ、人間の鼻水とは性質が異なるものです。

 ペンギンは、なぜ鼻水が出るのでしょうか?
 その秘密は、ペンギンの水分補給にあります。海鳥であるペンギンは、水分の一部を海水を飲むことで補給します。しかし、たとえペンギンとはいえ、海水の塩分濃度は高すぎます。そこで、飲んだ海水を濾過して、余分な塩分を『塩類腺(えんるいせん)』と呼ばれる器官から体外へ排出します。塩類腺は、頭蓋骨(とうがいこつ)の目の上の部分にあり、鼻孔へとつながっています。ペンギンが鼻水を出すのは、海水から分離した不必要な塩分が鼻孔に下ってくるからです。
 塩類腺は、海に依存して生きる生き物に見られる器官で、海鳥やウミガメなどで発達しています。ウミガメが産卵中に涙を流すことは有名ですが、塩類腺から出た不必要な塩分が流れ出している状況です。ウミガメの場合、塩類腺は目の部分につながっているので、陸上では目から涙のように流れ出してくるのです。

 なお、塩類腺を持たない動物が海水を飲むと、血液中の塩分濃度が上昇します。すると、浸透圧によって血液が細胞の水分を奪うため、脱水症状に陥ってしまいます。

…以上『やっぱりペンギンは飛んでいる!!』(技術評論社)を参照  「目次」へ移動

参考文献

… 上記紹介は、下記書籍を参考にしました。

  • 『ペンギン ハンドブック』 どうぶつ社  アマゾンのバナー
  • 『ウィロー教授の ペンギン学特論』 SEG出版  アマゾンのバナー
  • 『ペンギンの世界』 岩波書店  アマゾンのバナー
  • 『やっぱりペンギンは飛んでいる!!』 技術評論社  アマゾンのバナー