よちよち歩きのペンギンぺんたぁず

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ペンギンの環境

ぺんたぁペンギン

はじめに

『ペンギンとは』のページでは、ペンギンのおおまかな全体像を紹介します。特定の種類のペンギンの事は、和種名を追記します。
それぞれの種類のペンギンを詳しく知りたい場合は、『ペンギン6属18種の紹介』以下の『◯◯ペンギンの紹介』ページをご参照下さい。

南半球の地図

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生息域

ペンギンは南半球の赤道から、南緯77度の南極大陸の棚氷に至までの範囲内で生息しています。多くの人は、「ペンギン」というと南極を想像しますが、南極大陸に縁のあるペンギンは5種のみです。南極大陸の氷床でのみ繁殖するのはコウテイペンギンだけです。アデリーペンギンは大部分が南極大陸の氷床で、残りは南極周辺の島々で繁殖します。ジェンツーペンギン、マカロニペンギン、ヒゲペンギンの3種は、南極大陸の中でも比較的温暖な南極半島に繁殖地の一部がありますが、主な繁殖地は南極周辺の島々です。他の13種は南アメリカ、アフリカ南部、オーストラリア、ニュージーランド、あるいは南極周辺の島々などに繁殖地があり、実際には、南極に縁がありません。

 最も低緯度に生息するのは赤道直下のガラパゴス諸島に分布するガラパゴスペンギンです。(ガラパゴスペンギンの繁殖地のイザベラ島がわずかに北半球に含まれているので、厳密には「北半球にも生息している」なのですが、ごく一部です。)寒さが苦手なペンギンもいて、温帯性ペンギンのケープペンギンやフンボルトペンギンは、北海道など日本の冬の寒さには耐えきれません。かれらを日本で飼育する場合は、暖房設備が欠かせません。

 全てのペンギンに共通しているのは、「その生息域は南極還流から流れ出る海流の海域」という事です。南極大陸のまわりを周回する南極還流には、植物性プランクトンに必要なミネラルが豊富に含まれているので、赤道付近まで流れ出るこれらの海流の海域はペンギンが食糧とする魚類・甲殻類(エビなど)・頭足類(イカなど)が豊富です。逆に、グレートバリアリーフなどの、珊瑚礁のあるような温暖な海域にはどの種も生息していません。

気温とペンギンの分布

ペンギンの営巣地は、南半球の寒冷な海域にほぼ一致しているものの、18種のうち12種のペンギンは、南回帰線付近のより高温な地域で繁殖する。その中にはニュージーランドとその周辺に散在する気候温暖な島々に分布している7種のペンギンが含まれている。

 おのおのの地域には、固有の気温の変動があり、鳥類の分布は、鳥たちにとってもっとも快適な気温条件に応じて決まってくる。温帯における各月の平均気温は、摂氏5〜20℃というばらつきがあるが、これは、大部分の種類のペンギンが生活しうる気温だと言える。亜南極圏では、月間平均気温が摂氏8℃に達する月は無いが、少なくとも半年間は、月間平均が摂氏0℃以上となる状態が続く。
 しかし、南極圏では、平均気温が摂氏1.5℃以上になる事はない。とは言え、外洋では、海によって気温が和らげられるので、真冬でもめったにマイナス10℃を下回る事はない。一方、南極大陸では気温が氷点を超える事はなく、冬ともなるとしばしばマイナス20℃以下を記録する。(マイナス60℃の記録もある)この南極大陸はアデリーペンギンとエンペラーペンギンの営巣地ですが、南極の厳しい冬に直面するのはエンペラーペンギンだけです。

…以上『ペンギンになった不思議な鳥』(どうぶつ社)を参照  「目次」へ移動

分布

繁殖地 地図

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全ペンギンの繁殖地・生息域の一覧

全ペンギン一覧
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  • エンペラーペンギン属
    • エンペラーペンギン

      繁殖地:南極大陸に限定され、南緯66~78度の、氷結海上や南極大陸沿岸の沖の島々。ロス海では、南緯70度以南の大陸沿岸や棚氷の上。

      生息域:おそらく浮氷の北限まで。流鳥は南米のフエゴ島、フォークランド諸島、サウス・ジョージア島、サウス・サンドウィッチ諸島、ケルゲレン諸島、ハード島、ニュージーランド、南アフリカから報告されている。

    • キングペンギン

      繁殖地:南緯45~55度に位置する比較的暖かな亜南極の島々。フエゴ島で繁殖を始めた可能性がある。

      生息域:流鳥はニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、南極半島、東南極大陸から報告されている。

      • ヒガシキングペンギン

        繁殖地:サウス・ジョージア島、フォークランド諸島。

        生息域:(注:作者)亜種の生息域の情報は、見つけられませんでした。

      • ニシキングペンギン

        繁殖地:ケルゲレン諸島、クロゼ諸島、プリンス・エドワード諸島、マリオン島、ハード島、マッコーリー島。

        生息域:(注:作者)亜種の生息域の情報は、見つけられませんでした。

  • アデリーペンギン属
    • アデリーペンギン

      繁殖地:南極大陸沿岸の広い部分(ロス海の南緯77度にあるロイズ岬~南緯54度のブーベ島)、サウス・シェットランド諸島、サウス・サンドウィッチ諸島、ブーベ島、スコット島、バレニー諸島、ピョートル(ピーター)1世島。

      生息域:分布はよく知られていないが、おそらく南極収束線までで、浮氷の北限に制限されているのだろう。流鳥は大西洋のフォークランド諸島やサウス・ジョージア島、およびインド洋、大西洋の亜南極島、南アフリカ、オーストラリア、ニュージランド沿岸から報告されている。

    • ジェンツーペンギン

      繁殖地:亜南極の島々や南極半島。

      生息域:ほとんどの成鳥は1年中を繁殖地とその周辺で過ごす。流鳥は南アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドから報告されている。

      • キタジェンツーペンギン

        繁殖地:フォークランド諸島、サウス・ジョージア島、ケルゲレン諸島、ハード島、マッコーリー島、スタテン島。

        生息域:(注:作者)亜種の生息域の情報は、見つけられませんでした。

      • ミナミジェンツーペンギン

        繁殖地:南極半島、サウス・シェットランド諸島、サウス・オークニー諸島、サウス・サンドウィッチ諸島。

        生息域:(注:作者)亜種の生息域の情報は、見つけられませんでした。

    • ヒゲペンギン

      繁殖地:亜南極のブーベ島、サウス・サンドウィッチ諸島、サウス・ジョージア島、サウス・オークニー諸島、サウス・シェットランド諸島、スコット島、バレニー諸島、ピョートル(ピーター)1世島。南極半島では北部からアンバース諸島にかけて。ハード島でも報告されているが、成功していない。。

      生息域:北限は南極収束線までと思われる。流鳥はオーストラリアのマッコーリー島、タスマニアから報告されている。

  • マカロニペンギン属
    • マカロニペンギン

      繁殖地:南極収束線近くの南緯46~65度の大西洋側や、太平洋側とインド洋側に点在する島に多い。南極半島にも1つある。

      生息域:繁殖期以外の生息域についてはよく分からないが、おそらく南緯45~65度の南極海あたり。流鳥は南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドから報告されている。

    • ロイヤルペンギン

      繁殖地:オーストラリアと南極との間に位置するマッコーリー島のみ。

      生息域:繁殖が終わった冬季は、全てのペンギンは、繁殖地を去り海で過ごす。繁殖期以外の生息域についてはよく分かっていない。マッコーリー島周辺の亜南極圏の海域にいると思われる。流鳥はオーストラリア、ニュージーランド、わずかだが南極大陸でも報告されている。

    • イワトビペンギン

      繁殖地:亜南極圏の島々やインド洋、南大西洋の温帯の島々。南限は南緯53度、南極収束線以南のハード島、北限は南緯37度、亜熱帯のトリスタン・ダ・クーニャ諸島。

      生息域:南極周辺の島々で、マカロニ属の中で、最も広範囲に生息している。若鳥は主に北方へ移動する傾向がある。流鳥は南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリアから報告されている。

      • ミナミイワトビペンギン

        繁殖地:フォークランド諸島、ホーン岬の島々。

        生息域:(注:作者)亜種の生息域の情報は、見つけられませんでした。

      • ヒガシイワトビペンギン

        繁殖地:インド洋側のマリオン島、クロゼ諸島、ケルゲレン諸島、ハード島と、太平洋側のマッコリー島、キャンベル諸島、オークランド諸島、アンティポデス(アンティピティーズ)諸島。

        生息域:(注:作者)亜種の生息域の情報は、見つけられませんでした。

      • キタイワトビペンギン

        繁殖地:ゴフ島、トリスタン・ダ・クーニャ諸島、アムステルダム島、セント・ポール島。

        生息域:(注:作者)亜種の生息域の情報は、見つけられませんでした。

    • シュレーターペンギン

      繁殖地:バウンティー島、アンティポデス(アンティピティーズ)諸島、オークランド諸島、キャンベル諸島(87年以降の確認情報はない)。

      生息域:ほとんど分かっていないが、おそらく繁殖地の周辺に限定できると考えられる。冬季には繁殖地よりも北方へ移動していると思われる。流鳥はニュージランドのクック海峡や南島の東海岸、マッコーリー島、チャタム島、オーストラリアから報告されている。

    • スネアーズペンギン

      繁殖地:ニュージーランドの南にあるスネアーズ諸島のみ。

      生息域:冬期、スネアーズ島の繁殖地を離れている間、どこにいるかは不明。島を離れたペンギン達は「オーストラリア沖にいる説」と「ニュージーランドの北島付近にいる説」がある。流鳥はオーストラリアのタスマニア、マッコーリー島から報告されている。

    • フィヨルドランドペンギン

      繁殖地:ニュージーランド南島の南西部海岸地帯、フィヨルドから南のスチュアート島にかけて。

      生息域:繁殖期の冬の間いっぱいは、繁殖地の周辺にいると思われる。繁殖期以外の海上での行動範囲は、ほとんど分かっていない。流鳥はオーストラリア、ニュージーランドから報告されている。

  • キガシラペンギン属
    • キガシラペンギン

      繁殖地:ニュージーランド南島では東海岸に限定され、北はバンクス半島から南へオアマル、オタゴ半島、ナゲット・ポイントさらにスチュアート島。亜南極海では、オークランド諸島、キャンベル諸島。

      生息域:繁殖が終わった冬期は、50~100羽くらいの群になって、ほとんどが繁殖地近くの海にいると思われる。夜も上陸してくる。若鳥は北のクック海峡で発見が報告されている。

  • コガタペンギン属
    • コガタペンギン

      繁殖地:オーストラリアとニュージーランドの本島および周辺の島々で生息している。北限はオーストラリアの南緯32度のペンギン島とカルナック島。南限はニュージーランドの南緯47度にあるスチュアート島。

      生息域:繁殖が終わった冬期でも、成鳥は本来の繁殖地から100km以上離れることは少なく、定着性が強い。

      • ミナミコガタペンギン

        繁殖地:ニュージーランド南島の西岸カラメアから東岸オアマル、フォーヴァー海峡からスチュアート島にかけて。

        生息域:繁殖が終わった冬期でも、成鳥は本来の繁殖地から100km以上離れることは少なく、定着性が強い。

      • フェアリーペンギン

        繁殖地:オーストラリア本土とタスマニア、それと周辺の島々。

        生息域:繁殖が終わった冬期でも、成鳥は本来の繁殖地から100km以上離れることは少なく、定着性が強い。

      • クックコガタペンギン

        繁殖地:ニュージーランド北島と南島を分けるクック海峡付近。

        生息域:繁殖が終わった冬期でも、成鳥は本来の繁殖地から100km以上離れることは少なく、定着性が強い。

      • チャタムコガタペンギン

        繁殖地:チャタム諸島。

        生息域:繁殖が終わった冬期でも、成鳥は本来の繁殖地から100km以上離れることは少なく、定着性が強い。

      • キタコガタペンギン

        繁殖地:ニュージーランド北島北部、カウヒア南部とイースト・ケープ東部。

        生息域:繁殖が終わった冬期でも、成鳥は本来の繁殖地から100km以上離れることは少なく、定着性が強い。

    • ハネジロペンギン

      繁殖値:ニュージーランド南島のバンクス半島とモトナウ島、および南カンタベリー海岸。

      生息域:繁殖が終わった冬期でも、成鳥は本来の繁殖地から100km以上離れることは少なく、定着性が強い。

  • フンボルトペンギン属
    • フンボルトペンギン

      繁殖地:フンボルト海流が流れ込む チリからペルーにおよび、ペルーの南緯5度のフォカ島からチリの南緯33度のアルガロボにかけての沖合の島々。アルガロボから南に900km離れた南緯42度のチロエ島でも例外的に繁殖している。

      生息域:フンボルト海流が流れ込む海域と、わずかながら大陸の海岸にも生息域が残っている。

    • ケープペンギン

      繁殖地:ベンゲラ海流が流れ込む ナミビア南部から南アフリカ沿岸に限定される。

      生息域:生まれ故郷に対する定住性が強い。流鳥は北方のセッタ・カマ、ガボン、インハカ島、モザンビークから報告されている。

    • マゼランペンギン

      繁殖地:南アメリカの大西洋沿岸および太平洋沿岸。大西洋側ではホーン岬から南緯42度まで、太平洋側ではフエゴ島から南緯29度までの範囲。それと、フォークランド諸島。

      生息域:冬期は遠洋上で過ごし、太平洋側では、はるか北のペルーまで回遊している。アルゼンチンの大西洋岸、プンタ・トンボやカボ・ヴィルヘネスで繁殖する個体は、冬期にブラジル南方まで旅する。流鳥はオーストラリアとニュージーランドから報告されている。

    • ガラパゴスペンギン

      繁殖地:熱帯のガラパゴス諸島のフェルナンディナ島東部、イサベラ島北西部、サンチェゴ島の沖のバルトロメ島。1997年、フロレアナ島で少数が繁殖しているのが確認された。

      生息域:ガラパゴス諸島の繁殖地の沿岸。幼鳥と若鳥は時折、サンチェゴ島、サンタ・クルス島、サン・クリストバル島、ラビダ島、フロレアナ島で観察されている。

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…以上『ペンギン大百科』(平凡社)・『ペンギン ガイドブック』(阪急コミュニケーションズ)を参照  「目次」へ移動

海流とペンギン

海の食物連鎖

海洋での第一生産者は、微小な植物性プランクトン(珪藻類)です。植物性プランクトンは太陽の輻射エネルギーを、光合成によって、炭水化物(糖)、タンパク質、油や脂肪などの、さまざまな物質に姿を変えて固定します。これらのエネルギーに富む合成物は植物性プランクトンの体内に蓄えられ、やがて動物に摂取されます。食物連鎖の過程で、植物性プランクトンが生産したこれらの物質を、ある時はエネルギー源として、またある時はその一部をほかの物質に変換して蓄える役割をはたしているのが、動物性プランクトンなどの草食動物です。そして、動物性プランクトンは、小魚や甲殻類などの肉食動物の餌食となる。やがて、肉食動物が死ぬと、その体はバクテリアや菌類によって分解され、豊かな栄養素として、海に拡散していきます。それがまた第一生産者である植物性プランクトンにとりこまれていくのです。

  海では、植物性プランクトンの光合成によって、年間3300万㌧もの食料が生産されているとの概算がある。しかし、今日、人間が利用できるのは、そのわずか0.3%にすぎない。
 こうして、植物性プランクトンからなる小さな浮遊植物が、海の食物連鎖の起点となり、ペンギンやほかの外洋に住む海鳥たち、アザラシ、クジラ、イルカへとつぎつぎにつながっていく。一般的に、ある海域の植物性プランクトンの供給量が多ければ多いほど、その海域内には、海鳥のような大型の肉食動物がより多く生息できる。

…以上『ペンギンになった不思議な鳥』(どうぶつ社)を参照  「目次」へ移動

プランクトンの生成

ところで、植物性プランクトンの生成は、様々な要因によって制限されますが、光は、そのなかでもたいへん重要な因子です。というのも、珪藻類は光合成を推進する為に、太陽からの輻射エネルギーを必要とします。照度の低い海域では、冬期の南極や北極のように、海の豊かさも減ります。燐酸や硝酸などのミネラルが豊富だと言う事は、陸上の菜園の場合と同様、海中での植物の生成にとっても、基本的な要素です。したがって、そのうちどれが欠けても、植物性プランクトンの成長は妨げらます。

 しかも、そのミネラルは、死んだプランクトンの有機物が分解されたものか、動物の排泄物によってしか補充されません。死んでしまうと、海に住む生物はみな海中に沈んでいきます。つまり、大切な栄養源が、光合成の可能な海水層から、より深く冷たい層へと失われていき、後者に蓄えられます。豊かな陽光に恵まれているにもかかわらず、熱帯の海には、私達が期待するほど大量の生物がいないのは、その為なのです。つまり、海面に近い層は、比較的ミネラルが乏しいです。
 しかし、海は決して静止していないので、不断の対流によって、ミネラルに富んだより深い海水の層が海面に接近し、大量のプランクトンを生み出します。こうして、そのプランクトンを採取する一連の動物たちの数もまた、増え続けるのです。

…以上『ペンギンになった不思議な鳥』(どうぶつ社)を参照  「目次」へ移動

海流とペンギンの分布

海流

赤道付近の海水は日光で暖められて軽くなるので、対流が生まれ、常に動いています。その対流に、地球の自転にともなう力(コリオリの力)がはたらいて、回転運動が起こり、時計回りとは逆の大きな渦巻きが生まれます。南半球には、もう一つ、南アフリカや南アメリカの大陸部から西方に吹き出す強い貿易風という有名な気流があます。それらの作用で、太平洋、大西洋、インド洋の南側では、流量は毎秒およそ1億㌧とも言われる、南極還流が生じます。
 南極還流は、大陸や海底地形に遮られ、三大洋の中を周回する支流として遠洋へと流れ出します。この支流は、太平洋でフンボルト海流(ペルー海流)、大西洋でベンゲラ海流、インド洋で西オーストラリア海流と、呼ばれます。

ペンギンの分布

これらの海流と気流は、ペンギンの分布にも影響を及ぼします。ペンギンは海に出ると、たえず、アフリカ大陸や南アメリカ大陸、オーストラリア大陸の沿岸から遠ざかって赤道方向の西方に向かう圧力を受けます。一方、その付近の海面近くの海水は遠方に吹き流され、これに代わって、栄養分に富むより深い層(水深約300m)の海水が、大陸棚沿い沸き上がってきて、やがてフンボルト海流、ベンゲラ海流、西オーストラリア海流などの力強い寒流の流れ乗ります。

 寒冷なベンゲラ海流は、温帯に属する南アフリカの沿岸に、数多くの海鳥や何十万羽ものケープペンギンが生息することを可能にしています。
 同じように、より強力なフンボルト海流(ペルー海流)が、毎時約3.7km(2ノット)の速さで、南アメリカ大陸の西岸に沿って北流しています。フンボルト海流は、赤道付近に達すると、西方のガラパゴス諸島へと向きを変え、やがて南赤道海流となってさらに西流します。この海流の水温は、南アメリカ大陸の最南端から北上して西に変針するまでのあいだに、およそ14.4℃から17.8℃へとほんの少し上昇するにすぎません。また、海面近くを冷たい海水が流れるので、大陸から沖合に吹き出す風を生じる事になるのだと考えられています。その幅がわずか10kmほどであるにもかかわらず、フンボルト海流は実に豊かです。マゼランペンギン、フンボルトペンギン、ガラパゴスペンギン、イワトビペンギン、そしてマカロニペンギンたちは、その恩恵に浴していて、ペンギンたちによるアンチョビー(ヒシコの仲間)の大量消費の結果、ペルー沿岸特産のグアノ層が形成されていきました。

 ガラパゴスペンギンだけが熱帯のガラパゴス諸島に住み着けたのも、この島がフンボルト海流に洗われていたからです。彼らの生息域は、熱帯という言葉が本来意味する環境にくらべ、はるかに涼しいのです。
ニュージーランドで発生したペンギンの祖先は、この海流に乗り南半球に広く生息域を広げて行きました。

…以上『ペンギンになった不思議な鳥』(どうぶつ社)を参照  「目次」へ移動

豊かな南極の海

極地方を覆う氷河の溶融も、大洋間における潮流の水平的循環と、海水層間の垂直的循環に影響を及ぼしていて、特に、南半球については、海洋学的な調査の結果、その詳細が最もよく知られています。海鳥の分布に関して、氷河の溶解がはたした役割もはっきり指摘する事が出来ます。
 氷が溶けて出来た真水は、海水の塩分濃度を薄めながらその表面を漂う。そして、南極の氷が溶けた場合、塩分濃度の低い海水は赤道に向かって北流します。同時に、ミネラル豊富な深層の海水が、南流しながら、南極の大陸部に発達した氷床の下に上昇してきます。そこで、上昇してきた海水は、北流しようとする表層の塩分濃度の低い海水とある程度混ざり合う。だから、南極大陸沿岸には、プランクトンが豊富に存在するのです。日照時間の長い春と夏は、とくにそれが著しい。
 しかし、この食糧の潤沢な海域も、それほど北方にまで広がっている訳ではありません。というのも、南極周辺に生じた豊かで冷たくしかも比較的塩分濃度の低い海水は、亜南極圏の暖水帯に突き当ると、その下に沈み込んでいってしまうのです。海水温が著しく上昇するこの境界を、南極収束線と言います。

 南大西洋では、冷たい南極の海水が海表面下に沈み込むのは、およそ南緯50度あたりです。また、次に、亜南極圏の海流は、さらに温かく栄養に乏しい赤道付近で生じた海流と、ちょうどトリスタン・ダ・クーニャ島の北にあたる南緯40度付近で入れ替わる(亜熱帯収束線または南極前線)。南緯40度線以南の表層海中には、それ以北に比べて約十倍の頭足類(ヤリイカなど)やトビウオがいて、甲殻類に至っては約一万倍も多いのです。
 南極収束線から亜熱帯収束線までの間にも、かなり多くのペンギンが生息していますが、大半は南極収束線以南の豊潤な海域にいます。南極収束線付近では、海面1ヘクタールあたり年間約12,000kgの動物性タンパク質が生産されます。これは、陸上のもっとも生産性の高い牧草地の2倍以上の生産量です。

 南半球の表層海水は、こうして、熱帯、亜熱帯、亜南極、南極と四つの海域に分ける事が出来ます。そして、高緯度になればなるほど海水の豊かさも増すという事が、各海域での海鳥の分布にも反映している。

…以上『ペンギンになった不思議な鳥』(どうぶつ社)を参照  「目次」へ移動

エルニーニョ

数年ごとに、ペルー沿岸とそこに住むおびただしい数の鳥たちに災厄が降り掛かる。カリフォルニア沖に源を発する暖流、エルニーニョです。ミネラルに乏しいので、プランクトンにも乏しいこの海流が、例年になく南方まで流れ込んでくることがあります。すると、南アメリカ西岸の気温は上昇し、大陸から海に吹き出す風が弱まるとともに、フンボルト海流の北流も押さえられてしまいます。

 エルニーニョ現象が起きると、太平洋の暖流が岸に押し寄せるので、アンチョビーはより深く水温の低い海中にもぐってしまい、鳥たちの大集団は飢えに苦しむ事になります。鳥たちが次々に死んでいくなかで、鳥たちの繁殖力がいかに旺盛だといっても、エルニーニョが去った直後の繁殖期が終わった時点で、ようやく元の個体数にまで回復するのが限度です。気まぐれな海流に依存せざるをえない海鳥たちの悲劇を、エルニーニョ現象ほど物語るものもない。
 ペンギンの場合、南アメリカ大陸での分布は、東岸より西岸の方がはるかに北方まで広範囲にわたっています。これは、ただ単に、強力で豊かな海流の北上という条件が、西海岸でのみ満たされたからにすぎません。

…以上『ペンギンになった不思議な鳥』(どうぶつ社)を参照  「目次」へ移動

ルッカリー(集団営巣地)

海上での生活範囲

ペンギンは生涯の三分の二ほどを海ですごすが、営巣地を去った後、海上ではどのように分布しているのか、どんな生活を送っているのかは、あまり分かっていない。それは、陸上では観察しやすいのに比べ、海上では船上からの観察にたよるからです。
 ところで、海上でのペンギンはさして偉大な旅行者とは言えない。彼らは餌をとる為に、ルッカリー(集団営巣地)から小さな群れに分かれて、手近な沿岸の海域に向かうのが精一杯なのです。

 たとえば、マゼランペンギンとフンボルトペンギンは、おもに南アメリカ西岸にグアノ(糞化石)を堆積させたほかの無数の鳥たちとともに、豊かなフンボルト海流にのって餌を追い求める。

 ケープペンギンの場合は、南アフリカからほんの少し沖合にいるイワシやニシンのような魚を取っている。このペンギンの群れは、岸から約30km沖に出たところで見る事が出来る。

 コガタペンギンの群れは、オーストラリアの大陸棚周辺でしばしば観察されている。これらの鳥の多くは、ルッカリーからいちじるしく離れたところに移動することはない。しかし、標識をつけた8000羽以上のヒナの中で、後日再確認された200羽のうち何羽かは、自分たちが生まれた繁殖地から1000kmかそれ以上離れたところで見つかっている。

 ヒゲペンギンの主な営巣地域は、ピョートル(ピーター)1世島(西経90度)から東方のブーベ島(東経0度)の間ですが、ケルゲレン島(東経70度)やバレリー諸島(東経165度)という前哨基地もある。営巣地をはずれる、ヒゲペンギンはマックォーリー島やフォークランド諸島にあるポート・スタンレーなど、はるか北寄りのところで観察されている。つまり、ヒゲペンギンは、ほぼ南極をぐるりととり囲むようなかたちで、とくに秋から冬にかけては、じつに広範囲にわたって分布しているという事になる。そして、何羽かは南極圏、すなわち、海水温の急激な変化によって南半球の海洋に形成される南極収束線をこえて、北に向かうようです。

 若いペンギンは、たぶん成鳥にくらべ、海流にのってより広範囲に分散していくのだろう。たとえば、エンペラーペンギンの若鳥たちは、成鳥よりも北寄りに行動し、おそらく温帯地域の南部にまで足をのばした後、南アメリカ大陸最南端のフェゴ島に帰ってくるのです。しかし、大半のアデリーペンギンやエンペラーペンギンは南極圏内で生活しており、まだ繁殖経験のないうちは、大陸沿岸に張りつめた定着氷の外側にある浮氷帯(パックアイス)の周辺にいます。
 繁殖期の前の換羽の後、亜南極圏に住むキングペンギンの大多数は、九〜十月に始まる営巣期に備えて、たっぷり太るために、岸からさほど遠くないところで二〜三週間を過ごします。反対にマカロニペンギンやイワトビペンギンは、ルッカリーから北方に定期的な移動をおこなうが、これは多分、彼らが餌とする生物の移動にともなうものでしょう。

…以上『ペンギンになった不思議な鳥』(どうぶつ社)を参照  「目次」へ移動

どこに巣をつくるか

ルッカリーが設営される場所は、種によって全くまちまちです。ガラパゴスペンギンとフンボルトペンギンは、海の浸食で出来た洞窟を利用しています。この内、フンボルトペンギンは、もともと南アメリカ沿岸の島々に形成されたグアノ(糞化石)層に穴を掘って住み着いていました。フンボルトペンギン、マゼランペンギン、南アフリカのケープペンギンはみな、地表に穴を掘って巣にしています。

 残念な事に、地表に穴を掘るケープペンギンの営巣地域では大量の表土が消失しているし、フンボルトペンギンが巣作りのために穴を掘っていたグアノ層のほとんどが、人間によって持ち去られました。海鳥の糞が固まってできた膨大な量のグアノは、ミネラルに富む素晴らしい肥料となるため、毎年 営巣地から運び出す企業ができ、何百万トンものグアノが運び出されてしまいました。今では、基岩上のグアノ層が、地表を掘って巣をつくるペンギンたちにとって十分な厚さにならない為、それらのペンギンの多くは、浅い窪みや岩にできた穴で巣作りをせざるをえなくなりました。

 イワトビペンギンやロイヤルペンギン、その他の有冠ペンギン(冠羽を持つペンギン)の仲間は、雑草の茂みの間に巣をもうけ、何百メートルも離れた海と巣をむすぶ通路(ペンギン道)をつくっている。マックォーリー島では、イワトビペンギンの大きなコロニーが草地や林に広がり、見通しが良く利く平らな小石の多い場所を占拠しているより数の少ないロイヤルペンギンのグループと重なりがちです。

 一般的に、亜南極圏に生息する種の多くは、海のすぐそばに巣を作ります。ジェンツーペンギンの場合はルッカリー周辺に植生が欠かせないため、踏み倒された草の回復にしたがい、二、三年ごとに巣を移動します。さらに南寄りのところでは、ヒゲペンギンやアデリーペンギンがおのおのジェンツーペンギンにとってかわります。

 普通、ルッカリーは海のすぐそばにつくられます。アデリーペンギンやエンペラーペンギンの場合、特に冬から早春の営巣期が始まる頃になると、彼らは氷縁からはるか遠くに移動し始める。冬のうちは南極を囲む海のほぼ全域が、何百マイルにもわたって凍りつくが、夏の訪れとともに、それらの氷が溶けて氷山のかたまりが砕け落ちて、南方の営巣地に通じる水路が海上の氷原に現れるのです。だから、エンペラーペンギンは、氷上に巣を構える時も、わざわざ氷縁からはるかに離れた場所にルッカリーの設営地を定めることによって、真夏の南極で崩れたり溶けたりする危険な氷から身を守る必要が無くなり、孵化したヒナに与える食事を取る為にわざわざ海岸まで長旅をしなくても済むのです。おそらく、エンペラーペンギンは、その一生を通じて海と南極の棚氷の上で生活し、一度も陸地に直接足跡を残す事の無い、唯一の鳥でしょう。

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ルッカリーへの遠い道

アデリーペンギンとエンペラーペンギンは、ペンギン界屈指の健脚の持ち主である。九月から十月にかけて、アデリーペンギンたちは、定着氷の端から50〜60km離れた古くからのルッカリーを目指して、南下を開始します。
南極半島先端に位置するホープ湾にある営巣地は、海から約320km離れています。これは少々例外的なケースですが、アデリーペンギンの大半は、自分たちの巣にたどり着くのに、荒々しく危険な海氷の上を50ないし60kmも歩いたり腹這いになったりして踏破しなければなりません。
アデリーペンギンは、海面よりもかなり高いところに巣を作ります。フィリップ島で探検家ウィルソンは二十万以上のアデリーペンギンのルッカリーを発見したが、そのうちの何羽かは海抜300m以上のところに巣を作っていました。

 エンペラーペンギンもまた、ルッカリーに達するのに、氷点下の寒さの中を硬い海氷を超えて、約95kmも歩いたり腹這いになったりして移動しなければなりません。最も近い開水面から299kmも離れた地点(南緯77度30分、西経98度54分)ニ向かって、南東に一直線にエンペラーペンギンのものと思われる足跡が続いているのが見つかった事もあります。
 しかし、最高記録保持者はヒゲペンギンでしょう。その腹這いで進んだ跡が、最も近い海辺から400kmもつながっているのが発見されているからです。

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風とルッカリー

低緯度の南極地域に生息する2種のペンギンには、営巣地の選び方に興味深い相違が見られます。

 小型のアデリーペンギンは、普通 吹きさらしの岩場に巣を作ります。なぜかと言うと、窪地の吹き溜まりでは、積もった雪の為に息がつまってしまいそうになるからです。

 一方、エンペラーペンギンの場合、既存の26カ所の繁殖地(そこには総計20万つがいがいる)のうち、2カ所以外は全て頑丈な海氷(一年中溶けない)の上に、風にさらされないような場所が選ばれています。オスは、しばしばマイナス50℃にまで気温を引き下げるブリザードにも立ち向かわねばならないので、体温の維持は生き残る為の必須条件となります。だから、この苛酷な環境のもとで、ペンギンたちは、体温を保つ為に身を寄せ合って(ハドリング)過ごすのです。また、このような行動は、岩場よりも、氷に覆われた平坦な場所に繁殖地がある場合の方が、より効果を発揮します。
ルッカリーのいくつかは氷崖の風下側に位置しているので、この崖がペンギンたちにとっての風よけになります。同時に、ヒナたちが巣立つ時の、海への近道になるにようです。

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ルッカリーへの忠誠心

ペンギンは、自分が属するルッカリーに忠実にとどまり、毎年同じルッカリーにもうけられた専用のコロニーに帰ってくる。たとえば、アデリーペンギンのルッカリーが大勢のペンギンたちの単なる集合体に見えたとしても、そこには必ずそれぞれの境界線が引かれているのです。

 それぞれのルッカリーは、多数のコロニーの集合体からなり、一つがいごとに一つのテリトリー(縄張り)を決めています。そして、一つの町内にひしめき合いながら、小さな共同体や近隣関係を形作っているのです。

 アデリーペンギンのうちで自分のテリトリーを変更するものは、約2.3%にすぎないと見積もられています。したがって、小型のペンギンについては、特定のルッカリーに対する忠誠心は、驚くべき高水準に達していると言えます。

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参考文献

… 上記紹介は、下記書籍を参考にしました。

  • 『ペンギン大百科』 平凡社  アマゾンのバナー
  • 『ペンギン ガイドブック』 阪急コミュニケーションズ  アマゾンのバナー
  • 『ペンギンになった 不思議な鳥』 どうぶつ社  アマゾンのバナー
  • 白地図、世界地図、日本地図が無料 …ここで配布されている地図データから、このページの地図を作製しました。
    (http://www.freemap.jp/)